うちのクローゼットの片隅には、
長いこと誰も触れない「開かずの間」みたいな聖域があったんだよね。
そこには、20代の頃に給料叩いて買った中古のフィルム一眼レフとか、
30代のちょっと独身を謳歌してた頃に「一生モノだからさ」って
自分に言い訳しながら買い足したレンズが何本も眠ってた。
スマホのカメラが進化するにつれて、
重い機材を持ち出すことなんてすっかりなくなっちゃって、
「いつかまた使うかもなぁ」っていう淡い期待だけが、
クローゼットの中にずっと閉じ込められてたんだ。
片付けたい、でもリサイクルショップに持っていけない理由
40代も半ばを過ぎると、
家の中にそういう「どうにかしなきゃいけない荷物」が少しずつ溜まってくる。
家族からは、
口にこそ出さないけど「あのデカい箱、いつ処分するの?」っていう
無言のプレッシャーがチクチク刺さるわけ。
自分でも分かっているんだよ、
あの機材を片付ければ部屋がすっきりすることくらい。
でも、いざリサイクルショップに持っていくところを想像すると、
どうしても足が止まっちゃう。
もし店員さんに、「あー、これカビ入ってるんで値段つかないですね」なんて
冷たく言われたら、自分の大切な思い出まで全否定されたような気がして、
なんか惨めだし嫌じゃん。
15分間の「スマホ撮影」で、思い出をデジタル化する
そんなある土曜日の午前中、
たまたま家族が買い物に出かけて、家の中が久しぶりに一人になった。
「よし、今日こそちょっと動いてみるか」と思ったものの、
いきなり業者を呼んだり、箱に詰めて送るほどの気力はない。
そこで、ネットで見かけて気になっていた
「まずはスマホでかっこよく写真を撮って、
思い出ごとデジタル化しちゃう」っていう方法を試してみることにした。
処分するための作業って思うときついけど、
これまでの自分のカメラ人生をきれいに記録に残す「棚卸し」だと思えば、
エンタメ感覚でできるかもって思ったんだよね。
まずは、ダイニングテーブルの上をきれいに片付けて、
カーテン越しにいい感じの光が入る場所に、
1台目のフィルムカメラを置いてみた。
ファインダーを覗くと、
昔あちこち旅したときの景色とか、
あの頃の自分が持ってた熱量がフワッと蘇ってくる。
スマホを構えて、光の当たり方をちょっと調整しながら、
カタログの1ページみたいに丁寧にシャッターを切ってみた。
ただの記録じゃなくて、
これまで連れ添った相棒の「一番かっこいい姿」を残してあげたいなと思って、
角度を変えて何枚も撮ったんだよね。
手放す罪悪感が消え、「デジタル図鑑」が完成した瞬間
続いて、
お気に入りだった50mmの単焦点レンズや、ゴツい望遠レンズも
順番にテーブルに並べて、スマホで撮影。
このレンズ買ったときは、
嬉しくて部屋の観葉植物ばっかり撮ってたなぁ、とか、
このカメラのシャッター音が最高だったんだよなぁ、なんて思い出が、
写真を撮るたびに頭の中で整理されていく。
これ、過去の自分と静かに答え合わせをしてるみたいで、
不思議とすごく心が落ち着く時間だった。
ただの「ゴミ」や「不要品」として扱うのは心が痛むけど、
こうやって 1点ずつ向き合って、
自分の手できれいに写真に収めていくことで、
胸の中にあった「手放すことへの罪悪感」が、
驚くほどスッと消えていくのが分かったんだ。
15分くらいで全部の機材の撮影が終わったとき、
スマホのアルバムには、
めちゃくちゃ洗練された自分だけの「デジタルカメラ図鑑」が出来上がってた。
これが不思議なもので、
画面越しにずらっと並んだカメラたちを眺めていたら、
それだけでなんだか大満足しちゃって、
現物を目の前にしてたときの「手放したくない!」っていう強い執着が、
嘘みたいに薄れてることに気づいた。
「物」として部屋に置いておくのは終わりにするけど、
この思い出と記録は一生スマホの中に残る。
そう思えた瞬間、
心にかかってたモヤモヤが晴れて、
一気に前を向くことができた。
家族のプレッシャーが「応援」に変わった
さらに嬉しかったのが、
夕方に帰ってきた妻の反応。
テーブルの上にまだ出しっぱなしだったカメラを見て、
最初は「また何か広げてる…」って顔をされたんだけど、
「これ、今まで集めたカメラをスマホで図鑑みたいに残したんだよ。
綺麗でしょ。
これで踏ん切りがついたから、
今月中に全部整理するわ!」って写真を見せたら、
妻の表情がガラッと変わった。
「へえ、本当に綺麗に撮れてるね。今まで大事にしてたんだね」って
言ってくれたんだよね。
ただの邪魔な荷物だと思われていたものが、
僕の歴史として理解してもらえて、
しかも自分から片付けようとしてる姿勢が伝わったから、
家の中の空気が一瞬で和やかになった。
次の一歩へ。過去を整理したら未来が楽しみになった
デジタル棚卸しを終えた今の僕は、
前みたいな焦りや重荷を全然感じていない。
それどころか、
スマホに完璧な商品画像と型番のリストが揃ってる状態だから、
いつでも次のステップに進めるっていう圧倒的な安心感がある。
LINEで、この写真を送って査定してもらうのもいいし、
宅配買取の箱を申し込んで送っちゃうのもいい。
どの方法を選んでも、
もうお店のカウンターで気まずい思いをすることはないからね。
部屋のスペースが空いたら、そこに何を置こうかな。
ずっと気になってた新しい趣味の道具を買うのもいいし、
売ったお金で家族とちょっといい温泉旅行に行くのも最高だと思う。
過去の思い出を最高の方法でスマホに閉じ込めたからこそ、
これからの未来がすごく楽しみになった。
あのとき、ただ放置するのをやめて、
スマホを片手にカメラたちと向き合った15分間が、
僕の生活と心をガラッと変えるキッカケをくれたんだなって、
今マジマジと実感してる。


